夏へのトンネル、さよならの出口
公開日:2022年9月9日
八目迷によるライトノベルが原作です。第13回小学館ライトノベル大賞にてガガガ賞および審査員特別賞を受賞し、2019年7月に刊行されています。物語は、失ったものを取り戻せるという噂の「ウラシマトンネル」を巡る、青春と成長の物語を描いています。主人公たちがそれぞれの願いを抱えながらトンネルに挑む様子が繊細に描かれ、感動的なストーリーが展開されます。
あらすじ
この物語は、「ウラシマトンネル」という謎のトンネルを中心に展開されます。このトンネルに入ると、願いを叶えることができると言われていますが、その代わりに何かを失うというリスクがあります。主人公の塔野カオルは、過去に亡くなった妹を取り戻したいという強い思いから、このトンネルに興味を抱きます。一方、同級生の花城あんずも自身の理由でトンネルを探し求めます。二人は協力しながらトンネルを調査し、進むにつれて絆を深め、成長していく姿が描かれています。
注目ポイント!
感動的なテーマ
人生の選択、喪失と希望、そして成長という深いテーマが描かれ、観る者や読む者に強い感情を呼び起こします。
「ウラシマトンネル」の神秘性
願いが叶うというトンネルのコンセプトが物語の核となり、その代償という要素が緊張感とドラマを生み出します。
キャラクターの魅力
主人公の塔野カオルと花城あんず、それぞれの過去や目的が物語にリアリティと共感をもたらしています。彼らの関係性や成長も物語の重要な柱です。
美しいビジュアル
鮮やかな色彩や幻想的な風景が作品の世界観を一層引き立てています。イラストレーター「くっか」が描く緻密な憧憬や構図、キャラクターの魅力を充分に引き立てる色彩や明暗が印象的です。アニメ作画でもくっか氏のキャライラストがとても雰囲気にあっていて見ごたえ充分です!
意外性のある結末
ストーリーの結末には心に残る展開があり、観る者に余韻を与えます。これは見た人にしかわかりません。ぜひ一度視聴してみてください。
あとがき
『夏へのトンネル、さよならの出口』を観ていると切なさが胸に残る作品でした。ウラシマトンネルという、願いを叶えられるけれど代わりに時間を奪われる不思議な場所の設定がすごく印象的です。そして仕組み自体が青春の儚さとか、取り返しのつかないものというテーマとピッタリ重なっていました。
同じ目標をもって、トンネルを探す共同作業をしていくうちに少しずつ距離が縮まっていく感じがとても良かったです。お互いに抱えているものは違うけれど、それでも相手を理解しようとする姿が自然で、なんだか痛いくらいにリアルに感じました。二人とも自分の願いを叶えたい気持ちがあるけれど、時間という代償を払わなきゃいけないから、どうしてもシビアな選択を迫られるわけで。
特にラストがすごく印象的でした。大事な選択をするシーンは、切ないけど清々しくもあって、彼がちゃんと前を向こうとする強さを感じられました。それが良かったし、なんとなくホッとした気持ちになります。
あと、表現の仕方がすごく綺麗でした。情景描写が丁寧で、特にトンネルの中の描写は幻想的で引き込まれた。観ていると自分までその場所に迷い込んでるような気持ちになるといいますか。映像の美しさと音楽が物語の雰囲気をさらに引き立てています。
原作の持つ静かな切なさがうまく表現されていて、しばらく余韻が感じれられる作品です。
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