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鬼才 藤本タツキ 感動作 『ルックバック』

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ルックバック 概要

公開日:2024年6月28日

藤本タツキ 氏による同名の漫画で2021年に『少年ジャンプ+』にて公開されました。原作は全143ページからなる長編の読み切り漫画です。

学校の校内新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の「藤野」と、不登校であるが画力の高い「京本」が織りなす青春/ヒューマンドラマ作品です。

藤本タツキ 氏といえば、かの有名な作品ファイアパンチ』や『チェンソーマン』の生みの親です。

日本アカデミー賞でも最優秀アニメーション作品賞を受賞しているほど世間で評価されている作品でもあります。

上映時間:58分。興行収入20.4億円。

キャッチコピーは「――描き続ける。

  • 原作:藤本タツキ
  • ジャンル:ヒューマンドラマ・青春・心理
  • 配給:エイベックス・ピクチャーズ
  • アニメ映画公開:2024年
  • 監督:押山清高
  • 制作会社:スタジオドリアン

あらすじ

藤野は小学四年生の少女。

校内新聞に自作の四コマ漫画を連載し、周囲の友人たちからも高い評価を受け、自信に満ちていた。

だが、ある日、担任教師から「不登校の生徒・京本が、次号から漫画を連載させてほしい」と告げられる。

藤野はどこか優越感を持ってその日を待つが、届いた京本の作品を目にした瞬間、衝撃を受ける。

藤野の漫画とは次元の違う、緻密で圧倒的な画力がそこにはあった。

以降、京本の作品が掲載されるたびに、藤野の自信は失われていった。

自分の才能の限界を感じた藤野は、漫画を描くことをやめてしまう。

だが、担任に頼まれ、京本の自宅に彼女の卒業証書を届けたとき、藤野は一面の壁にびっしりと貼られた模写や練習の痕跡を目の当たりにする。

それは、誰にも見せられないまま、孤独の中で描き続けた努力の結晶だった。

その姿に心を打たれた藤野は、再びペンを取り、京本と共に漫画を描くことを選ぶ。

2人は中学、高校と漫画制作を続け、やがてプロを目指し、出版社に作品を持ち込むようになる。

夢に向かって真っ直ぐ進んでいた2人だったが、高校卒業後、京本は「もっと絵を勉強したい」と言い、美術大学に進学する道を選ぶ。

一方、藤野は一人で漫画の連載を始める。

しかし、ある日――

テレビのニュースが京本の通う大学で起きた無差別殺傷事件を報じる。その犠牲者の中に、京本の名前が。

藤野は深い喪失と罪悪感に打ちひしがれる。

自分が「一緒に描こう」と誘わなければ、京本は漫画を描かず、大学に進むこともなかったのではないか。

自分が彼女を「外の世界」へ連れ出したのではないか。悔やみ、泣き、すべてを否定しそうになる。

そのとき、物語は「もしも藤野が漫画をやめていた世界」へと移る。

そこでは、藤野と出会うことのなかった京本が、ひとりで黙々と漫画を描き続けていた。

誰かと描きたいという想いを抱えながらも、創作の情熱を絶やさず、ペンを持ち続けていた。

そして、再び現実の藤野へ――

藤野はふと立ち止まり、振り返る。

自分が歩いてきた道、京本と過ごした時間を思い返し、彼女がずっと自分の背中を見て追いかけてきてくれたことに気づく。

悲しみと痛みを抱えながらも、彼女は再び机に向かい、ペンを取り、漫画を描き始める。

京本がずっと見てくれていたように、今度は藤野が彼女の背中を思い出しながら、前に進んでいく。

注目ポイント!

創作と才能の「差」に向き合うストーリー

藤野と京本、二人の少女が出会うことで始まる創作の物語。

得意だったはずの漫画で初めて「敗北感」を味わった藤野が、それでも描くことをやめない姿に心打たれます。

誰かと比べて落ち込んだ経験がある人には特に刺さるし、才能と努力自己肯定感について深く考えさせられる。

静けさと「間」の演出

この映画は、必要以上に音楽を入れず、あえて「静けさ」が重要なファクターの一つ。

ペンの音、風の音、沈黙――それらが登場人物の内面を雄弁に語ります。

感情がぶつかる瞬間ほど、音がないことで余計に重い。心情の機微がリアルに感じられる。

2人の少女の関係性の変化

最初は“憧れと嫉妬”、やがて“友情と尊敬”、そして“喪失と後悔”へ――。

藤野と京本の関係は決して明るくはないけれど、とても美しい。

少女同士の感情の機微がリアルで、“好き”とは違う、でも特別な関係を構築しています。

原作との微妙な違いと「if」の描写

映画では原作になかった描写が追加されており、それが物語に別の視点をもたらしています。

観たあとに“あれは現実?妄想?”と考察したくなるポイント。

「あの時、別の選択をしていたら…」という“もしも”が物語をより深くする。

漫画とアニメの融合表現

藤本タツキの漫画的表現を、アニメならではの時間軸や空気感で再構成。

紙面のコマが動き出したような感覚が味わえます。

セリフよりも「描写」で語る演出が秀逸。手描き感のある作画が温かい。

あとがき

『ルックバック』を観終わったあと、まず最初に感じたのは確かな「余韻」だった。

物語自体はすごくシンプルなのに、心に残る感情の重さが異常で、しばらく動けなかった。

なんならエンドロールの音が流れている間、息をするのも忘れていた気がする。

この映画のすごいところは、何かを大声で訴えるんじゃなくて、ものすごく「静か」に語っているところだと思っています。

音も少ないし、セリフも必要最小限。

けれど、その“静けさ”の中に、藤野と京本の感情がギュッと詰まっていて、見る側の感情をどんどん吸い込んでくる。

創作は自分を信じることでもあり、他人に認められたい欲でもあって、時に嫉妬したり、投げ出したくなったりする。

藤野の「負けた」って顔も、京本の「憧れてた」って言葉も、全部がリアルで痛くて、それでいて、ものすごく優しかった。

特に後半。

あそこからの展開はもう、心がぐしゃぐしゃになった。

あまり多くは語りませんが、「もしあの時、自分が別の道を選んでいたら」という“if”の世界を描いたあの部分。

あれは原作でも震えたけど、映像で見ると破壊力が違った。

夢なのか、現実なのか、想像なのか、その曖昧さがまた心に引っかかってくる。

あと個人的に好きだったのは、藤野が一人で描き続けるシーン。

そこには痛みもあるけど、同時に「生きてる」感じもあった。喪失の中で、何かを続けるってこんなにも尊くて、苦しいものなんだと。

『ルックバック』は観る人の過去にある「誰かとの記憶」や「描くことへの想い」に静かに触れてくる映画だと思います。

ストーリーとしての完成度以上に、“感情の記録”として美しくて、切なくて、優しい。

これは管理人として、かなりの良作に感じています。

もしあなたも観てたら、どのシーンが一番心に残ったか、ぜひ教えてほしいですね。


劇場アニメ 「ルックバック」 公式サイト


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