名探偵コナン 水平線上の陰謀(ストラテジー)
公開日:2005年4月9日
『名探偵コナン 水平線上の陰謀』(すいへいせんじょうのストラテジー)は、劇場版シリーズの第9作目で、2005年に公開された作品です。
今回の物語は、大型客船を舞台に繰り広げられる事件とミステリーが中心となっています。
上映時間は107分。興行収入は約21億5000万円。
キャッチコピーは「忘れはしねぇよ、オマエのことだけは…」「オマエを、絶対に守る」。
- 原作:青山剛昌
- ジャンル:推理/ミステリー・サスペンス・アクション・恋愛/青春・サイコロジカル/ドラマ
- 配給:東宝
- アニメ映画公開:2005年
- 監督:山本泰一郎
- 制作会社:トムス・エンタテインメント
この作品の舞台は、豪華客船「アフロディーテ号」が舞台となっており、コナン映画で“海上パニック”を初めて本格的に描いた作品となっています。
当時の監督・山本泰一郎 氏は、
「海上の閉鎖空間という恐怖と、逃げ場のないスリルをテーマにした」とインタビューで語っていて、密室性のある船×事件×自然の恐怖という組み合わせにこだわったそう。
アフロディーテ号のモデルは、デザイン的に「クイーン・エリザベス」や「タイタニック」といった実在の豪華客船から影響を受けていると言われており、氷山と衝突するなど映画「タイタニック」に似た演出もある。
あらすじ
物語は15年前、ある貨物船の沈没事故から始まる。
それは“ある大手海運会社”が関わる謎めいた海難事故で、乗組員の中には生死不明となった人物もいた…。
――そして現在。
小五郎とコナンたちは、鈴木家のはからいで豪華客船「アフロディーテ号」の処女航海に招待されるとになった。
船には、小五郎・蘭・コナンに加え、園子、阿笠博士、少年探偵団の面々も同乗。
旅は順調に始まったかに見えたが、やがて船内で園子の拉致・監禁事件や商船会社の社長が刺殺される事件が発生する。
容疑者は乗客や乗組員たちを合わせて600人以上――
関係者の証言の食い違い、事件には15年前の沈没事故との関連がにおわされる。
さらに、事件の調査が進む中で、コナンはある“仕組まれた計画”に気づき始める。
それは偶然ではなく、周到に練られた復讐のシナリオだった――。
そして事件の真相が少しずつ明かされていくその時、船に第二の危機が襲いかかる。
まさかの船内での爆発、炎上、沈没の危機……。
火に包まれる船内、迫る沈没のタイムリミット。
果たして、コナンは真相を暴き、全員を無事に救うことができるのか?
そして、15年前の事件の“真犯人”とは一体――?
注目ポイント!
初の“本格・海上サスペンス”!船という閉鎖空間が舞台
コナン映画で“船”が舞台になるのは初。
しかも、ただの観光船じゃなく、豪華客船+ミステリー+パニック要素という盛りだくさんな構成。
逃げ場のない“海上”という環境が緊迫感を引き立てて、観ている側も巻き込まれる感じがあります。
15年前の事件と現在が絡む“複層構造のミステリー”
今作の事件は、“現在の殺人”だけじゃなく、15年前の沈没事故が密接に関係している。
昔の出来事と今の事件が繋がっていく構成が本格ミステリーっぽくて、「これはただの殺人じゃない…?」
と徐々に謎が深まっていく展開がたまらない。
まるでパニック映画!火災・沈没のド迫力シーン
終盤、船内で火災が発生し、そこから沈没の危機へ――という怒涛の展開は、アクション映画ばりのスリルと映像の迫力!
水が迫る音、燃えさかる炎、避難する乗客たち…映像と音響で臨場感MAX。
蘭の“強さ”と“判断力”がカッコいい!
今作は蘭の見せ場が多くて、特に火災時にコナンと連携して乗客を助ける姿が印象的。
ただのヒロインではなく、自分で考えて行動できる頼れる存在。
冷静さと行動力を兼ね備えた、まさに“蘭らしい強さ”が光る一作。
“正義”とは何かを問いかける重いテーマ
本作の事件は、ただの金銭や怨恨ではなく、「過去の罪」と「復讐」が軸になっている。
人が正義の名のもとにどこまで許されるのか。
誰かの命が軽く扱われたとき、正義はどう動くのか――
ただの謎解きではなく、人間の感情や倫理観にまで切り込むところが深い。
あとがき
劇場版コナンの中でも特にサスペンス色が強く、重厚なストーリーが魅力の作品でした。
舞台となるのは豪華客船「アフロディーテ号」。この閉ざされた空間で事件が発生し、コナンたちが謎を解き明かしていく展開は、まさに王道のクローズド・サークルミステリーという感じでしたね。
特に印象的だったのは、犯人の動機の深さです。
劇場版コナンでは、大がかりな犯罪やテロリストが登場することも多いですが、今回は過去の因縁が絡んだ「復讐」という感情的な動機がストーリーの核になっていて、単なるミステリーにとどまらないドラマ性がありました。
事件が解決しても、どこか後味の苦さが残るようなラストも、この作品の魅力のひとつだったと思います。
また、今回は毛利小五郎の活躍が光りました。
普段はおちゃらけたキャラクターとして描かれることが多い彼ですが、探偵としての矜持を感じさせる場面があり、コナンとの関係性にも少し変化があったように思います。
彼の過去にも触れるシーンがあったことで、単なる「眠りの小五郎」ではなく、彼自身も探偵としての誇りを持っていることが伝わってきました。
全体的に、ミステリー・アクション・人間ドラマのバランスが絶妙で、劇場版コナンの中でも特に大人向けの作品という印象を受けました。
単純な謎解きや派手なアクションだけではなく、登場人物の心理描写や過去の因縁が深く絡んでいたことで、感情移入しやすくなっていたのも良かったです。
最後に残る余韻が、ただのエンタメ作品以上のものを感じさせる、そんな映画でした。
コメント