名探偵コナン 時計じかけの摩天楼
公開日:1997年4月19日
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』は、超有名シリーズである名探偵コナンの劇場版シリーズ第一作目です。この作品は、青山剛昌氏の原作の魅力をそのままスクリーンに落とし込み、コナン映画の基盤を作り上げました。
これ以降、毎年劇場公開されているほど恒例となり、人気となった元祖と言ってもよい作品です。
上映時間:95分。興行収入11億円。
キャッチコピーは「真実はいつもひとつ!」「死ぬ時は、一緒だぜ…」。
- 原作:青山剛昌
- ジャンル:推理/ミステリー・サスペンス・アクション・恋愛/青春・サイコロジカル/ドラマ
- 配給:東宝
- アニメ映画公開:1997年
- 監督:こだま兼嗣
- 制作会社:キョクイチ東京ムービー
テレビアニメ『名探偵コナン』のヒットを受けて制作された初となる長編アニメ映画作品であり、以後は毎年春に新作の劇場公開が恒例となりました。
あらすじ
東京で次々と起こる爆破事件。
ある日、有名な建築家・森谷帝二から工藤新一宛にパーティーの招待状が届いた。しかし新一(=コナン)は黒ずくめの組織によって薬を飲まされ体が縮んでしまっている。コナンは、毛利小五郎を代理として毛利小五郎や蘭たちとともにパーティに出席することに。
森谷帝二の開催するパーティには著名人や政財界の人間など数多くの上流階級がそろう。そんな中、森谷帝二から参加者からクイズが出される。見事、クイズを解いたコナンは、森谷帝二がかつて建築してきた写真が掲げられる部屋へと案内されるのだった――。
新一の誕生日の前日。大量のプラスチック爆弾が盗まれたとニュースが流れ、ついで4件の家屋が放火されたと報じられる。
すると突然、何者かから工藤新一の携帯に「爆弾を仕掛けた」との凶報がもたらされた。
爆発までの時間は刻一刻と迫り、命をかけた頭脳戦が始まる――!
最後の舞台に爆弾が仕掛けられたと知ったコナン。そこには蘭たちが遊びにきていた。
刻一刻と時間がせまる中、果たしてコナンはすべての謎を解き明かし、大切な人を守ることができるのか? そして犯人が凶行に及んだ経緯は?
すべては一つに繋がっていた。
注目ポイント!
コナン映画シリーズの原点
初めての劇場版ということで、原作ファンはもちろん、新規ファンにも大きなインパクトを与える内容となっている。テレビシリーズでは味わえないスケール感と緊張感が楽しめます。
タイトル「時計じかけの摩天楼」の意味深さ
このタイトル、めちゃくちゃよくできてるんです。
※ほぼネタバレになります。
- 「時計じかけ」=爆弾がタイマー式で時間との戦い
- 「摩天楼」=事件の舞台である高層ビル
- そして「時間」=コナンの設定(薬で子どもになった)にも通じるテーマ
さらに、赤と青のワイヤーの選択も、時間(秒針)と運命を象徴してるとも言えます。
つまり、コナン=時間と戦う存在というメッセージも込められてるわけです。
劇場版第一作にして、このタイトルセンスは天才的かと。
劇場版ならではのスケール感
テレビシリーズでは見られないような、大規模な演出が満載!
まさに「劇場版ならでは」の迫力と緊迫感が、物語を引き立てている。
しかも、爆破がただのド派手演出じゃなく、ちゃんと事件の核心と繋がってるのがポイント。
蘭と新一の関係性の描写
恋愛要素が丁寧に描かれているのも、本作の大きな魅力。
コナンは蘭の目の前にいるのに、自分が新一だと明かせないジレンマ。それでも、声だけでも蘭が“新一としてのコナン”を信じて行動する姿がもう泣ける。
この作品で「コナン=新一」の切なさが深く印象づけられた人も多いはず。
爆破トリックとの究極の選択
この映画最大の山場ともいえるラストシーン。蘭が1人で閉じ込められた建物に爆弾が仕掛けられており、コナンはその場に行けず声だけで爆弾の解除をサポートする。
しかし、最後のワイヤーは「赤か青か」の完全な二択。コナンは決断できず、蘭が「赤か青」か切るコードを選ぶ……!
最後に蘭が選んだ理由とその「色」は?
あとがき
『名探偵コナン 時計じかけの摩天楼』は、劇場版の第一作とは思えないほど完成度が高く、観終わったあとに深く余韻が残る作品でした。
事件のスケールは大きいのに、物語の中心にはしっかりと「人の想い」が描かれていて、コナンという作品の魅力が詰まっている感じがしました。
一番心に残ったのはやはりり、ラストのシーン。蘭が爆弾を前にして、赤と青、どちらのコードを切るかを選ばなくちゃいけないあの場面。
コナン(新一)も電話越しに必死で指示を出しますが、最後の二本の選択には答えを出せない。
いつも冷静で頭脳明晰なコナンが、判断できずに悩むというのが印象的で、逆に人間らしさが滲み出てた。
でもそんな中で蘭が選んだ色とその選択した思い。あれはもう涙腺崩壊ものだった。
コナンとしてではなく、新一として彼女の心に残っているということが痛いほど伝わってくる。
そして何よりも、蘭が信じたのは“新一”であり、彼女自身の気持ちだったというのが本当に強いし美しいと思いました。
事件そのものも魅力的だった。
犯人は、いわゆる「金のため」「復讐のため」みたいなわかりやすい動機ではなく、自分の理想を壊されたくないという芸術家的な美意識が根底にある。
その動機が異常ではありますが、どこかリアルで、人間らしいエゴが見え隠れしていて、ただの「悪者」としては片付けられない深みがあった。
それにしても、劇場版としてのスケール感も素晴らしかった。
ビルが次々に爆破される迫力のある展開は、テレビアニメでは味わえない映画ならではのドキドキがあったし、それでも物語の焦点が“派手さ”じゃなくて“人の心”に向いているところが、すごく丁寧で誠実な作りだなって思った。
第一作の作品としてのレベルは高く、これが毎年春の恒例といえるようになったきっかけとなった作品です。映像としては、やはり過去作品のため今と比べると……とのイメージはありますが、それを超えるほどの感動に包まれます。
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